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2006年 04月 03日 ( 1 )

 

[小説] サマー/タイム/トラベラー

新城カズマ著、ハヤカワSF文庫。2巻完結。
小説版「蓬莱学園」の著者として一部で有名。
私もそれで何冊か読んだことがある口です。

題名から分かるように時間旅行を題材とした小説ですが、色々な時代にポンポン飛び歩くようなものではなく、偶然短時間のジャンプをしてしまった少女「ユウ」とその仲間が、いかにしてジャンプが起きるのかを調べる過程が中心となっています。
舞台は東京から程よく離れた田舎町。夏休みの間「プロジェクト」として検証、談義を繰り広げる5人の仲間達。
彼らは何れも幼い頃から膨大な量の書物を読み育った、所謂「浮世から一歩ずれた天才」
中でも他校の才女「響子」が紡ぎ出す「アエリズム語録」が異彩を放ちます。

「ネットワークの拡大が須らく人類を破滅へと導く」

とかそんな感じ(詳細は本編にて)

作品中に登場する古今東西様々な時間旅行小説、映画、コミックがマニア心をくすぐります。
中盤に出てくる「時間旅行物傾向分布図」が面白い。
検証を繰り返す内、なんとかジャンプ(短時間跳躍)ができるようになるが、あくまで彼女一人でしか跳べず、未来へしか行けない事が分かってくる。
この頃に街では連続放火事件の騒ぎが大きくなり、入院中のユウの兄「鉱一」の症状についての詳細な描写が始まる。
精神的多元世界放浪症とでも言うべきS-Z症候群。

どこか現実を冷めた目で見続けた彼らは、ユウのジャンプにより徐々に前向きな思考へと変化していき・・・

最近の小説では珍しい、切なさを感じさせる結末が読了後、胸に残りました。
このなんとも言えない残留感情(?)が小説の面白さの一つだなぁ、と感じさせられる一冊。
「もう少しこの世界を感じていたい」という読者の思いを和らげるような後書きも満足。

読者と著者との登場人物、世界観に関する捕らえ方を比較できる場所。
それが「後書き」
自分流にアエリズム的な事を書くなら

「後書きの無い小説は投げっぱなしジャーマンの様なものである」
 しかし、下手な後書きは本編そのものをダメにもする」


・・・なんか違うなぁ

  by varelire2 | 2006-04-03 11:01 | | Comments(0)

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