人気ブログランキング |

[小説] 地球移動作戦

山本 弘・著、ハヤカワJコレクション・刊

AMAZONにオススメされてポチったやつ
近未来、地球軌道上に接近する天体を避ける為に地球そのものを動かしてしまおう!というお話
帯にある「総出力6600兆トンで地球を動かせ!」という煽りがイカス

さて、作中での文明LVと文化状況
21世紀タキオン粒子を用いた画期的な無限動力機関「ピアノドライブ」が誕生
スペオペ系で主に超光速通信媒体としてよく登場するタキオン粒子をここでは動力機関と絡めて使っていることが新鮮
ピアノドライブ誕生の経緯や理論については作中、序盤(二章かな)で見学者向けツアーという場面を用いて説明アリ
「あまりにも速度が速くなると出発する前に目的に到着してしまう」一種のタイムマシンとしての考え方が出てきたりも

また、昨今のネット事情、というか主に日本のネット事情への関心の表れからか、どこかで見たような小物にニヤリとさせられる場面が多い

iPhoneやgoogle携帯などでも実現しているAR、AugmentedRealityを発展させ、専用のグラスを装着する事により現実空間に重ねて擬似的な情報を視覚、聴覚で感知する技術が一般化(電脳コイルの眼鏡に近い)
更にARでの個人用サポートプログラムとして誕生した「ACOM(エーコム)」
元々は企業が作成販売した基本プログラムがユーザ間でどんどん改変され、またそれがネットに流れてまた改変され、最終的にはカスタマイズフリーの素体が販売され、購入したユーザが自由に弄る形態(所謂mod型)で定着
こっちはオンラインコミュニティーやネットゲームのキャラとしてのアバター、及びボーカロイドからの進化が伺える
ヒロイン的立場のACOMに至っては青髪ツインテール、地肌密着型衣装というどこかで見たようなお姿

映像文化に関してもグラフィック関連でのハード、ソフト双方の進化が極まり、フリーのソースが無数に誕生
それらを組み合わせ、一つの作品として発表される形態が一般化
前述のACOMを俳優として使った新たな映像作品が旧来の映画を駆逐
「人間は年とともに老化劣化するがACOMにはそれがない」

要は映像至上主義のプリレンダゲー(FFとか)のムービーシーンがリアルタイムレンダリングで尚且つ背景、音楽、更に俳優までフリー素材となり個人がMADムービー感覚で映像作品として作り出せてしまう訳だ
俳優となるACOMに関しては他の所有者が有償で借りたり、俳優として貸し出すべく育てる事を仕事とする者が出てきたり

これはそのままyoutubeやニコニコ動画からの発展だろう
何より映像作品の作者は「ジェイドP」など、まんまの呼称とされている

youtubeやニコニコベースじゃ作者側商売として成り立たねぇんじゃね?という疑問は出てくるが、一応これの説明もあり
基本はweb拍手やクリック募金の延長なんですがね


んでまぁ、こんな一部の人に取っては素晴らしい面白世界にぶっ飛んでくる天災対策に地球を動かしちまおう!という

ちょっと厚めの本ですがその分詰め込みすぎの印象は無く、上手くまとめられていて全編楽しんで読み進められました
妖魔夜行辺りの短編で山本小説が気に入った人や、トンデモSFが好きな人からニコ厨にもオススメの一冊

  by varelire2 | 2010-05-29 11:46 | | Comments(0)

<< [DOL] 海事修行一段落、そして [DOL] 海事修行中 >>

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE