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[小説] レパントの海戦

塩野 七生・著
新潮文庫・刊行


ローマ人の物語が途中で家になくなったのでこれを
文庫6巻?まではあったんですが、その次が無くて、どうやら震災時の水槽被害で破棄されたらしい
残念

で、この本は単巻完結
一応戦争3部作にはなっているそうで「コンスタンティノープル陥落」「ロードス島海戦」そしてこれ
年代的には1500年代、3部作では一番最後、途中で止まったローマ人の物語6巻からは1700年も先の話
5段ガレーとか言ってたのは遠い昔
歴史上ガレーが活躍した最後の海戦になるそうで

この年代だと大航海時代オンラインでも馴染みの名前が散見され、妙な親近感が沸く
スペイン傭兵のアンドレア・ドーリアとかヴェネツィアのサンタクルス公爵とか

船の方も精錬されたガレーシリーズいっぱい
そして当時ヴェネツィアにしか無かったという海上砲台船ガレアッツァ
両舷に加えて船首船尾にまで大砲を配備し、ハリネズミ状態
但し、移動はさほど早くなく、回頭も苦手
これってあれですよね、ガレアス!
時代が下ればこれがヴェネツィアンガレアスになるのかね?

海戦そのものもある事ながら、そこに至る状況がまた面白い
キリスト教圏vsイスラムの構図としか認識していなかったレパント海戦ですが、実際は紆余曲折があったようで本書ではその辺りが分かりやすく書かれてます
イスラムは王が代わったばかりで父よりも大きな事をして名を上げたい血気盛んな王侯派が主流な中、実質的な益を上げるヴェネツィアとの関係も維持したい和平派も内在
ヴェネツィアとしては戦争したくないところだが、キプロス島を奪われてしまい已む無く開戦に踏み切る羽目になるも、一国では対抗できずローマ法王を介してキリスト教vsイスラムの構図を描く為に奔走する
当時の強国は他にスペイン、あとはフランスといったところだがフランスは内紛の為外に手を出す余裕が無く、そもそも仮想敵国がスペインでもあるのでヴェネツィアとは協力したいがトルコとも敵対したくないという内情もあり、つまるところスペイン一国
しかしスペインとしては地中海の東の果ての島よりもアフリカ北岸のイスラム勢力を駆逐して自国の勢力下に置きたいというのが本心
キリスト教の王という立場にあったスペインを動かす為に、ヴェネツィアはローマ法王をなだめすかしおだてて行くことになる

大航海時代オンラインやった人になら間違いなくお薦めの一冊
え?もう読んでる?

ですよねー

  by varelire2 | 2012-09-27 02:23 | | Comments(0)

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